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乳児湿疹とアレルギーマーチ


生後3か月以下の赤ちゃんが湿疹を主訴に来院される事があります。湿疹は脂漏性湿疹だったり、間擦疹だったり、乾燥性皮膚炎だったりと、さまざまですが、これらの背景にバリア機能異常がある場合は、免疫反応が誘発されるために、皮疹が重症だったり、難治だったりします。
卵白アレルギーを代表とする食物アレルギーは、摂取から2時間以内にアレルギー症状が出現する即時型アレルギー反応です。この即時型アレルギー反応の特徴は、卵白などに対する特異的IgEが体内で増加している点です。
バリア機能異常を伴う湿疹の部位に環境中の卵白や小麦の成分が付着すると乳児の体内に卵白や小麦に対する特異的IgEが産生されやすい事がわかっています。乳児湿疹の治療が遅れるほど食物アレルギーの発症率が高くなる事が知られています。また、食物アレルギーの発症は、幼児期以降の気管支喘息やアレルギー性鼻炎の発症とも関連している事が知られており、これら一連のアレルギー疾患の発症は、アレルギーマーチと呼ばれています。

すなわち乳児湿疹の治療は、単に見た目の皮膚炎の改善だけでなく、食物アレルギーの発症とその後のアレルギーマーチを視野に入れた治療が必要です。
ペンギンの乳児湿疹の治療方針は、湿疹による免疫反応の沈静化、すなわち皮膚がツルツルになるまで皮膚炎の治療をします。そのためには、入浴の仕方、保湿剤塗布の指導に加えて、ステロイド軟膏による皮膚炎の治療が欠かせません。
また、離乳食が始まる生後5ヶ月から6ヶ月時に卵黄、卵白、乳、小麦に対する特異的IgEの検出を行い、IgEが検出された食品は少量から安全に摂取する方法を指導しています。残念ながら、摂取量を増やす途中で、アレルギー症状が出現した場合は、必要最小限の除去を基本とした指導を行なっています。必要最小限の除去とは、アレルギーの原因となる食品を完全除去にするのではなく、安全に食べられる量を食べていく治療方針です。この治療方針は、完全除去よりも安全かつ早期に食物アレルギーを寛解させる効果があります。
ペンギンの乳児湿疹に対する治療方針をご理解いただき、アレルギーマーチの軽症化に向けて、力を合わせて治療しましょう。
動画紹介
日本アレルギー学会が作成した3つの動画を紹介します。
https://allergyportal.jp/knowledge/movie/
1. 赤ちゃんに湿疹ができたらどうする
2. 食物アレルギーを防ぐには
3. アトピー性皮膚炎のスキンケアと軟膏療法

ぜひご覧ください。