乳幼児と成人のアトピー性皮膚炎の治療方針と予後に関しての類似点と相違点を解説します。

治療方針の類似点と相違点
類似点

治療の基本はスキンケアと抗炎症治療です。保湿剤を使用して皮膚バリアを改善し、炎症が強い場合にはステロイド外用薬やタクロリムス（プロトピック）を用います。重症例ではデュピルマブ（デュピクセント）などの生物学的製剤を使用することもあります。

相違点
乳幼児の場合、食物アレルギーが関与していることがあるため、必要に応じて食事制限を行うことがあります。
成人では、食物アレルギーの影響は少なく、基本的に食事制限は不要です。その代わり、環境因子やストレス管理が重要になります。治療の選択肢として、成人ではJAK阻害薬（アブロシチニブ、ウパダシチニブ）やナローバンドUVB療法が適用されることがあります。

合併症の類似点と相違点
類似点

適切な治療と管理を行えば、乳幼児でも成人でもアトピー性皮膚炎の症状をコントロールすることは可能です。しかし、適切な治療が行われないと、慢性化し、再発を繰り返すことがあります。

相違点
乳幼児のアトピー性皮膚炎は、約半数が2〜3歳までに改善し、学童期までには70%以上が自然寛解するとされています。しかし、重症例では成人まで持続することもあります。
一方、成人のアトピー性皮膚炎は自然寛解することが少なく、慢性化しやすい傾向があります。とくに環境因子やストレスの影響を受けやすく、適切な治療を継続しないと再燃を繰り返すことが多いです。